名作を味わいたいのに、避けてしまうオタクの話
最近、名作を避けてしまうオタクの呟きだ。
私のオタク歴のスタートはコミックボンボンだ。
コンビニにあるもので美味しい料理を作るゾ！というぶっ飛んだグルメ漫画や、
子供向けだよね？と編集の首根っこを掴みたくなるグロ描写が乱立する少年少女の冒険譚（悪魔の奴）漫画で育ってきた。
これ以上語るとコミックボンボンへの愛情を語る事になってしまうのでやめておく。
（もちろん、いずれも全て名作で、特にデビルチルドレンは非常にレベルの高い描画だしキャラクターは立ってるし…ああ名前を出しちゃった。まあバレバレだしいっか）
そんないたって普通のオタクの私は、
「鋼の錬金術師」にハマり、
それからずるずると色々な作品にハマっていく。
「萌え」型の作品消費をして、
同人誌をまばらに書いてきた。
そして、それからはどちらかと言うと一つのものにハマるのではなく、
いわゆるミーハー、イナゴ的な楽しみ方をしてきたと思う。
アホな事にかなり影響されやすく、オリジナルで作品を作ろう！
と言うようなことは誰もがやったことがあることだと思うのだが（そうか？）。
それらで無論ループものや現代の魔術師が～など、恥ずかしげもなくアイディアを剽窃してきた。
うん、恥ずかしいね。どうすんのこれ？誰も見やしないものだが、
インターネットの海に堂々と「オリジナルです！」と放り込むものではない。
長々と語ってきたが、いわば話題作を与えられるままに受け取り、見て、感動して、盛り上がりながら騒いできたオタクだった。
過去形なのは、最近それが少し、怖くなってきてしまったからだ。
最近の私は、認めたくないが、名作、話題作を避けてしまっている。
何故なのか、自分の心理を改めて顧みてみることにした。
多くの人がみとめる名作、話題作は面白いことが多い。今まで「合わないなあ」というものはあまりなく、女の子可愛い～とか、ルルーシュ可愛そうだけどカッス～、とか、適当に盛り上がっていた貧相な語彙のオタク。それが私なので、そんな面白いものを避ける必要があるだろうか？
そう。最近「合わない」と考えるものが多くなってきた。
「つまんねえなあ」とか「気に入らねえなあ、ココ」と思うものが、増えてきてしまったのだ、実は。
「オタクに都合の良い展開」と「イタいセリフ」、「陳腐な設定」などと、まるで老害のような考えが、作品を見ている中でさんざんに滲み出てきてしまったのだ。
勿論、それらは過去沢山好きで味わったものだ。美少女が急に優しくしてくれたり、プンプンの厨２台詞を叫ばれるのは大好きだし、王道の設定は好きで、合わないものなんてない。
と思っていたのに、この年齢になって、合わないものが出てきてしまった。
それが「怖い」のだ。
名作が合わないのが「怖い」。
それを友人達は皆好きで、楽しい、面白いと褒めていて、
そこに「つまんねえわ」と言うのが怖い。
オタクとして色々な作品の楽しさを噛みしめることで癒しを得ていて、
そのお陰で毎日のクソ仕事も耐えられる。
なのに、「合わない作品」が出てきた。
「名作と期待していたのに、合わなかった」なんて身勝手だ。
でも、それがとても辛い。
期待を裏切られたときはすごく辛いし、
世間一般の感性とはぐれてしまったことが怖い。
今までずっと群れて漂っていたオタクの私は、
名作を見ればすぐに多幸感を味わえていた。
「合う作品」を消化する幸せがあった。
なのに、もう名作＝私の幸福ではなくなっていた。
すると、「名作」が怖くなってしまった。
名作＝期待してしまうところ、世間一般の評価も高い。
それを見て「合わない」ことが、なんとも怖い。
もう１つは、「世間の作品消化速度に追いついていけない」ことだ。
某有名ソーシャルゲームが最近特にそれだ。
私はネタバレをされると拒否反応を起こすほどでもないが、
没入はできなくなってしまう。
某ソーシャルゲームはとても人気で、スクショも沢山張られるし、キャラクターは可愛いし格好いい。だけど、ちょっとしたネタバレにならないネタバレ！と書いて、思い切り「作品で味わうべき」ポイントをネタバレしてくる人もいる。
お陰で、もうそのゲームは私は楽しめる気分ではない。
「自衛しろ」なんて言葉もあるだろうが、
「ネタバレにならないよ」と言っておいてそれはないよ。
なってるよ。
体力がないオタクだから、作品を消化するのが遅い。
のにバンバンネタバレが来る。
もう追いつけないよ、私は。
勝手に盛り上がってろ、という気分になる。
